December 8, 2021
【スポーツビジネスを読む】バスケ版「チャンピオンズリーグ」の仕掛け人 東アジアスーパーリーグ、マット・ベイヤーCEO 前編 EASL実現までの道のり
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ついにベールを脱いだ……としていいだろう。
アジアのバスケットボール・ナンバー1決定戦とも呼ばれる東アジアスーパーリーグ(EASL)はBリーグとの提携を1日に発表、来年10月12日の開幕が決定した。
EASLはバスケ界の「アジア・チャンピオンズ・リーグ」と考えると理解しやすい。2022-23シーズンよりスタートし、日本、韓国、フィリピン、中華圏からそれぞれ上位2チームずつが参戦。4チームずつに分けられた2つのグループにて開催される「グループリーグ」では、ホームアンドアウェー方式により、グループ内の上位2チームを決定、計4チームのみが決勝トーナメント「ファイナル4」にてアジアの頂点を争う。来年の開幕戦以降、グループリーグは毎週水曜に行われ、11月下旬からのワールドカップ予選によるブレークをはさみ、2023年2月8日までに計28試合が開催される。
東アジアスーパーリーグのファースト・シーズン・フォーマット 提供:EASL
同様の試みは2017年、「The Super 8」という呼称でスタート。千葉ジェッツ(現・千葉ジェッツふなばし)が初代チャンピオンに輝き、富樫勇樹がMVPを獲得した。翌年には「The Terrific 12(テリフィック12)」という形に進化。こちらでも琉球ゴールデンキングスが優勝を遂げたが、2019年開催時には、残念ながら日本チームによる3連覇を逃している。こうした一連の大会が国際バスケットボール協会(FIBA)に認められ2020年8月、EASLとして10年間の公認、支援が決定された。
このEASLの仕掛け人が、同CEOマット・ベイヤーさんだ。
ウィスコンシン大学出身のベイヤーさんは2007年よりNBAミルウォーキー・バックスにてキャリアをスタート。中国語堪能のため、同年にドラフトで指名された中国選手、イー・ジャンリャン(易建聯)の通訳も務めた。
こうした縁が手伝い、中国に移り住み、培ったバスケットボールの人脈から、マーケティング、PRおよび政府関係の仕事にも従事。外国企業として初めて、中国政府公認エージェンシーに指定されるに至った。もちろん、中国バスケットボール協会(CBA)とも緊密な関係を築き上げ、CBAの多くのチームと契約、マーケットの実に40%の選手との契約を保持している。
NBAでキャリアをスタートし、中国のバスケットボール・リーグを長年眺めてきた中で、「中国のバスケ・ファンがどうバスケを楽しむか、中国ファンの興味のプライオリティに気づきました」と言う。そのプライオリティは以下の順だとか。
1.中国代表チーム
2.NBA
3.CBA(国内リーグ)
順番は少々入れ替わるかもしれないが、日本のバスケットボール・ファンに置き換えても、この3つの要素に大きな変動はないのではないだろうか。
しかし、残念ながら国際的な代表戦はそう多くはない。サッカーにおける日韓代表のライバル関係は、キラーコンテンツのひとつながら、試合数は少ない。バスケットボールも同様だ。
「(バスケの)代表チームの試合は滅多にありません。特に中国対韓国、中国対日本のように近隣国とのライバル対決は、2年か3年に1回という状況です。中国のファンも、これには不満なんです。そこで、オリンピック並みに試合の存在感を上げるためにはどうすればいいか考えました。国際的な競争が見られる機会をもっと増やすにはどうしたらいいのか。(今回のプレジェクトは)そこがスタートラインでした。あとはどうやって実現させるかの問題でした」とベイヤーさんは、EASL誕生の着想について明かしてくれた。
テレフィック12で盛り上がる観客 (C)AESL
スポーツビジネスに従事していると、こうした国際的リーグへの取り組みは想像を絶する難易度であり、気が遠くなるほど。各国リーグとの交渉も簡単ではなかったはずだ。その点について訊ねるとベイヤーさんは「すごぉぉぉぉぉく長いプロセスでしたよ」とカジュアルに応えてくれた。
「まず2015年末までに各国、各地域の差異について検証を重ねました。ビジネスモデルの形や規模などについて。各マーケットのニーズを理解し、(その国の)人々が何を好み、コマーシャル的成功とは何かを知り……こうした項目を多面的に検証しました。最重要だったのはロードマップをどう敷くか、ファースト・ステージでどこまで進捗させるか、何をどう具現化させるかでした」とスタートラインについて聞かせてくれた。
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